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昼も過ぎた、春の太陽が空に浮かんでいる頃。
緩やかに続く丘の上、林が途切れた辺りに、一本の木があった。
「わぁ、大猟大猟♪」
他の花々よりも一足先に芽吹いたその木の下には、早くも小さな実が転がり、つややかな皮で穏やかな陽光を照り返している。
「んー、これと、これと……他に食べられそうなのは、と」
草がまばらに生えた木の陰で、一人のエルフがしゃがみ込んでいた。丈の短いスカートから、涼しげなブラウスと同色のスリップが覗くことも気にかけず、嬉しそうに色とりどりの木の実を拾い上げる。
「うーん、これは赤くなりすぎかなぁ?でもジャムにならできるかも……」
吟味した実を指の間に挟んだままでは、もっと拾いたくても思うように手が動かない。うら若いエルフは、すらりと伸びた両手をついて、地面に置いた籠を振り返った。
「あれ……?」
籐網みの籠が消えていた。丁寧にも、持ち手に目印のリボンまでつけていたはずのそれは、リトの目の前から奇麗さっぱりいなくなっていた。
「にゅふふ……」
「え?」
籠を探して辺りを見回すリトの後ろで、小さく含み笑いが聞こえた。声のする方へエルフ特有の長く尖った耳を動かしてみると、更に小さく、木の葉が擦れるような音がして――
「ひゃぁぁっ!?」
次の一瞬が過ぎるまでの間に、リトの手首に柔らかな綱が巻きつき、両手を絡めて頭の上へ持って行ってしまった。
更に続いて、不思議に温かな弾力が二つの目に被さり、瞼といわず頬といわず、リトの顔をぷにぷにと押してくる。
「わ、わぁっ……!」
「だーれだ?」
今にも悲鳴を上げようとしたリトのうなじから、ハスキーな声が聞こえる。思わず息を呑んだリトが慌てて後ろを振り向くと、切れ長の目にいたずらっぽい光を湛えた、否応なしに見覚えのある顔が、大写しに迫っていたのだった。
■ □ ■ □
朝霧の色をしたブラウスに、二つの手が重なっている。差し上げられた両腕から続くなめらかな曲線に沈みこむようにして、明るく輝く毛並みを生やした指が、リトの乳房をやわやわと弄んでいた。
「もぉリトってばぁ、なぁんでもっと早く来てくれないのかなぁ?」
ふんわりとした土の上で、座りこんだリトを捕まえた犬娘は、リトの首筋に鼻先をうずめてくる。腰まで届く髪の中で広がる温かな空気に、リトは思わず首をすくめた。
「メ、メィヌはそんなこと言うけどぉ……、この間から、まだそんなに経ってないよ?」
「経ったよぉ!ボク三日も待ったんだよ?」
メィヌと呼ばれた犬の娘は、首を傾げてリトを見た。
丁寧に触られる胸に気をとられて、エルフの長い耳がひょんひょんと揺れる。メィヌが仕掛けた罠から真剣に逃げようとするでもなく、リトは細かく震える身体を抑えていた。
「むー……。ボクなんて、リトに会いたくて、一人で何回もしちゃったのに……」
メィヌの頭の中で、今日から数えて三回も前の太陽が沈みかけたころのリトの姿が浮かび上がる。オレンジの色の夕日に照らされて、桃色に染まった肌がつやつやと光る。
「はぁっ、あぅ……わ、わかったから、このヒモほどいてよぉ、メィヌってばぁ」
「うぅーっ!リトのばか」
耳を寝かせた犬娘は、二本の脚まで使ってリトに絡みついた。肉づきの良い太腿でエルフの細い身体を挟んで、長さの余った足先を赤金色のスカートの前にぐいぐいと押しつける。
「いや、やめて、やめてよぉメィヌぅ……ひぁっ!?」
メィヌの四肢に包みこまれたエルフの娘は、不自由な身体をねじって左右に揺れる。本気で暴れるでもなく、霊力を使うでもないリトの動きは、メィヌにとってどれほどのものでもない。両方の足の裏の間で膨らんできた硬いものを、犬娘ならではの肉球で転がしながら、メィヌはリトの耳をそっと噛む。
「ねぇ、今から籠持って帰るのと、このままスカート脱がしてもらうのと、リトはどっちがいーい?」
■ □ ■ □
「はぁ、や、ふぅ、あぁっ……」
スカートどころか、下着に靴下まで脱がされ、ブラウスも手元に巻き上げられてしまったリトは、ほとんど裸の格好で高い声を漏らしていた。膝を立てて開いた股間からは、朱く色づいた肉幹が突きだし、先の丸みを空に向けて、ぴくんぴくんと脈動している。露わになった身体は所どころが濡れ光り、身じろぎするたびに、リト自身の汗と混じった甘い匂いを振りまいた。
「ひゃん、やぁ、熱いよぅ……」
木漏れ日がちらつくリトの乳房には、上気した犬娘の顔がぴったりと寄り添っていた。メィヌは熱のこもった舌を長くのばして、先端の小ぶりな赤みをかすめるように、リトの胸をねっとりと舐めていく。
「えへへ、リトのおっぱいおいしいよ?」
「あぁん、メィヌのばかぁ……」
「そぉんなコト言ってさ。リトのココは、もっとしてして、って言ってるよ?」
メィヌはエルフの細身に絡みつくようにして、腰の横から、リトの脚の付け根に手をのばす。触れた場所から赤くなっていくリトの肌の感触を味わう腕の先で、肉球のついた指が、リトの屹立の根元をふにゅりと摘まんだ。
「ぃやぁ、そ、それは違う、のぉ……」
「なぁにが違うのかなぁ?リトのココ、かちかちで、ひくひくで、ぷるぷるだよ?」
「な、何のことだかわから、ふはぁっ!」
肉幹の肌を引っ掻くように上る指先は、いくらもしないうちに、襟元に皮を緩ませたリトの実に辿りついた。濃い桃色に染まったそこを包みこむように手を被せて、メィヌは、リトの腰から生えた敏感な部分をねじる形に刺激する。両手を差し上げられたリト自身が揺らす動きも加わって、柔らかな手に責められるリトの性器は雨のあとの泉にも似た勢いで、先からとくとくと露を湧き出させ始めた。
「ほらほらぁ、リトだって、もうガマンできなくなってるんじゃなぁい?」
「『だって』って……メィヌのほうこそ、あたしのお尻にカタいのが当たって……」
リトはゆらゆらと首を振りながら、胸といわず腋といわず頬擦りをしてくるメィヌに言い返す。
「そうだよぉ?ボク、もうガマンできないもん。リトの中、入れちゃいたいよ?」
身体ごとリトの背中に自分を預けたメィヌが、さかさまになった顔で、白い胸のふくらみの下からリトを見上げた。犬耳の後ろに流れた秋の葉の色をした巻き毛が、さらりと音をたててリトの太腿に流れる。
「ひぃん……」
「ねぇ、リトぉ……。ボク、リトのお腹に入りたいよぉ。あったかいとこで、いーっぱいぐちゅぐちゅぅってしたいよぉ」
甘えた声でリトに話しかけてから、メィヌは小さく鼻の奥で鳴いた。興奮のあまり涙を浮かべた木蓮の瞳で、リトを見つめる。
「……ほんとにメィヌって、気持ちいいの、好きだよね」
困ったように眉を垂らしたリトは、木を上る蔦を思わせる格好で抱きついてきた犬娘を諭すように、ゆっくりと言葉を返す。
「うん。でもボク、リトにしか、こんなこと言わないよ?」
メィヌの手が、リトの屹立の下にある、普段なら閉じあわされているはずの緞帳をやわやわと揉んでいる。
「当たり前だよ……。他の仔にこんなことしたら、あたし、怒るからね?」
「わかってるよぉ。リトって、怒ると怖いもん」
エルフの股間をまさぐりながら、メィヌはそろりと頭を起こして、まっすぐにリトの顔を見た。そのまま口を開かずに、リトのお腹に手の平を広げる。
無言のままのメィヌの手が、リトのへその周りで丸を描いて回る。すりすりと肌を撫でる犬毛の感触が、奥から伝わる温もりに塗り潰される頃になって、リトはようやく、桜色の唇を開いた。
「……やさしくしてくれるなら、いいよ」
「わふっ」
ようやく返事をもらったメィヌは、唇から覗く牙を輝かせて、リトの乳房をかぷりと甘噛みする。
「やさしくしてくれないと、ダメなんだからね?」
「うんうんっ」
再び動き出したメィヌの腕に抱きしめられながら、リトは、今は犬娘の肉球の下にある秘密の透き間から、熱い蜜をとろりと溢れさせていた。
■ □ ■ □
つややかな脚の間から、湧き水の下に置かれた壺の口元のように、次々と透明な流れがこぼれ落ちる。にゅぷりにゅぷりと滑(ぬめ)らかな音を響かせながら、二つの身体は互いと繋がる肌触りを求めて、真昼の木陰で揺れている。
「はっ、ひゃはっ……」
細身の腰を押し開くようにして、熱くて太い肉の塊が、リトの中を行き来している。お腹の芯まで貫いてくる快感に震えて、しなやかな背筋がひとりでに、肉幹の動きに相対する格好で幾度もしなる。
「はふぅ、んふっ……。リトの中、すっごくきもちいいよぉ?」
まるで大好きなお菓子を薦める調子で、後ろのメィヌはリトに話しかけてくる。頬には春の花の色を乗せ、唇では幸せそうな笑みを描いて、自慢の腕力でリトの身体をゆする。その度に、両の手の平に包まれた白い乳房が、前には引かれ、その後に胸に圧しつけられて、柔らかく形を変えた。
「ねぇメィヌぅっ、む、胸、痛いからぁっ……!」
「おっぱいやらかいのにぃ?リトはモミモミされるのイヤ?」
「そ、そういうことじゃ……っ」
振り向いた拍子に、ずんずんと大きさを増してきた屹立が、螺旋を描いてリトの秘華をこね回した。
「んあぁん!」
ぬるりと擦れるたくましい弾力の塊に、リトの中が一斉にすぼまって吸いつく。びくんと跳ね起きたリトの太腿の間から、メィヌの肉幹が今度はまっすぐに引き抜かれて、空の色に薄く曇った粘り気をぱさりと草の上に掻き出した。
「みゅふふ……リトってば可愛いなぁ。ぐっちゅぐっちゅされて、こぉんなに喜んでくれるなんて」
「やぁ!? うそぉ……はふぅっ!」
抗議の声を上げかけたリトの中に、真っ赤な先実が勢いよく突きこまれた。リト自身のものより二回り大きな屹立を呑みこんで、宙に浮いた小ぶりなお尻が、後ろに下がりながらふるふると小さく恥らう。
「リトぉ……」
明るい毛並みの犬娘は、エルフの娘を抱いたまま、ふっくらとした頬を垂らした。
その腰の下では、犬娘のふくらはぎが、リトの腰を抱えるようにそろりそろりと持ち上がる。
「リトもきもちよくなってくれないと、ボクやだよ?」
「あ、はぁ、メィヌぅ……」
うわ言のようにメィヌの名前を呼んで、リトは手首を吊られた格好でゆらゆらと身体をくねらせる。長く尖った耳の根元まで紅に染めながら、くわえこんだメィヌのそこの太さをお尻の間から奥深くまでで味わい、抜きさしにあわせて自身の肉幹をひくりと跳ねさせている。
「はっ、はぁ……」
荒い息をつきながら、メィヌは差し上げた二つの足を器用にあわせ、裸になったリトの屹立をしっかりと捕まえた。
「あはぁうっ!?」
「にゅふぅ……イかせてあげるよ、リト」
今のいままでリトの肌に鼻先を押しあてて、汗の光る肌から匂いたつ興奮を愉しんでいたメィヌが、自分の身体を後ろ向きに傾けた。その格好のまま、白い胸を包んでいた両手を離して、細い腰の下側の丸みをぐっと支える。
「や、ちょっ、やめぇ……!」
「おそぉい。残念っ」
笑みをそのまま言葉に乗せて、メィヌはずるりとリトの中に自分を押しこんだ。
「くひゅぅんっ……」
「まぁだまだっ!」
奥まで入ったメィヌの肉幹は、一瞬の間をおいて、リトの花びらをくすぐる浅さまでいちどきに引き抜ける。下半身を伸ばすメィヌのリズムにあわせて、肉球の透き間に食いこんだリトの屹立が先の先まで逆撫でされる。
「あふぅっ……!」
「はぁ、リトの中、ほんとにすっごくきもちいいよっ……!」
二度、そして三度まで、メィヌは一気にリトを貫いた。メィヌの足に挟まれたリトのモノは、その度ごとにリト自身のぬるつきを絡めながら、犬娘の足の裏で激しくしごかれる。
「やぁ、メィヌぅっ、はぁ、はぁっ……!」
声を漏らすほどに、リトの中は激しく蜜を滲ませる。次第に細かく、それでも長い動きでその奥を突きまわすメィヌも、結んだ唇の裏で熱い風を吹かせながら、肉幹に伝わるリトの血の流れをかみ締めていた。
「リトぉ……ボクもうガマンできないよぉ」
首を傾げて上目遣いに見つめるメィヌの顔が見えているかのように、リトは頭を振ってメィヌのおねだりに応える。
「うん、いいよっ……。メィヌの好きなように、思いっきり、してっ……!」
「うんっ。わふぅ、する、ボクもイっちゃう……!
リトよりも背の低い身体が震え始めた。
うまくあわせていられなくなった足の間で、リトの屹立がこねあわされる。
深くに打ちこまれる太いものが、リトの中で自分の先の丸みをめちゃくちゃに押しつぶす。
「ひぃっ……!」
そして。
何度目か、もしかすると何十度目かの挨拶を交わして、メィヌの肉幹とリトの華の芯が離れたとき。
「はぁ、あぁぁっ……!」
「わふううぅ……っ!」
二人の身体の透き間から、透明な水の帯が、それから絹のように真っ白な液体が溢れた。リトのお腹の前で揺れる赤い実からは、少しだけ陽光の色を溶かしこんだ練乳が、幾筋もの曲線を空に順々に焼きつけていく。
「はぁっ、はぁっ……」
「むふぅっ……!いっぱいでたよぉ、だしちゃった……」
二つの足が、ぱたりと地面に落ちた。それにつられるように、すっかり朱の色に染まったお尻が、まだまだ太いままの赤い塊を挟んで、ぽすりと草を折り曲げる。
「えへへぇ……」
今度こそ木の下にへたりこんだリトの背中に、ふわりとした髪が、湿り気を含んでそっと寄り添ってきた。
「リトぉ……。きもちよかったよぉ、ボク」
そう言って、柔らかい髪の毛と細かな耳毛の塊は、細いエルフの背中にぐりぐりと自分を押しつけてくる。
「メィヌのばか……。こんなことしなくても、え……えっちなら、してあげるのに」
「ホントに?」
「う……うん」
もぞもぞと動いていた毛玉は、上に引っ張られたままの背中に触れたまま、そっと力を抜いた。その奥から、甘えた声がリトに尋ねる。
「じゃ、こんど、リトのうちに遊びに行っていい?」
「……いいよ?」
「ホントに、ホントだよ?」
すっかりリトに重みを預けたメィヌが、言葉の終わりを持ち上げて、さっきと同じ言葉を繰り返した。
こんなとき、リトが返す言葉は、たいていいつも決まっている。
「ほんとだよ。あたし……メィヌのこと、好きだもん」
リトの背中のさらに後ろのほうで、毛並みが草を叩く音が、ぱたぱたと聞こえた。
(Son dessein おしまい)
公開日:2009/04/11