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「Non sentimentalisme」の続き、になります)
胸の上に視線を向けたメィヌの目の前では、エルフの娘が音をたてて息を弾ませていた。笑みの形に緩んだ口元から覗く舌の先に透明な雫を転がしながら、リトは時折空をさまよう眼差しで、犬娘の顔を見据える。
「はぁ、はぁ、メィヌのえっち……。あたしとこんなこと、したくなって、うちに来たんでしょ?」
「そーだよ?リトってば、いーっつも、ボクが来ないと、遊んでくれないんだもん」
メィヌはのし掛かるようにして両肩に手を乗せたリトを怖がるでもなく、興奮で途切れがちな言葉の間から、にゅふふ、と声を漏らして笑う。
「べつに、メィヌのおうちが嫌いなわけじゃ、ないんだよ?」
いまいち押しきれない会話を交わしながら、リトは更に、メィヌに顔を近づけてきた。
すっと伸びた鼻のラインが、犬娘を押し倒した拍子に流れた髪を掻き分けて、その下にある丸い鼻先にそっと突きあたる。ほっそりとした身体は、メィヌが横たわったベッドに膝まで乗り上げ、押し開いた相手の太腿に向けて、熱を帯びた肉幹をぐいぐいと押しつけている。
「うー、リトのにおい……すごいよぉ」
メィヌが息をする度に、リトの放ったものから漂う木花の香りが、敏感になった喉の奥をくすぐる。味見をした分に、リトに口移しをする時に飲み込んだ分を加えて身体に染みたローメリーのエキスは、もともと利く鼻の感度を、メィヌ自身も驚くほどの鋭さにまで高めていた。吸い込んだ空気に溶けたリトのしるしから、精の味を舌の根元にまで伝えられるような感覚に、小柄な身体の奥がじわりと疼く。
「また、そういうこと言う……。メィヌだって、気持ちよくなると、ここからいっぱい、出すじゃない?」
「ふあぁっ?」
すっかりベッドに上ってしまったリトの肉先が、メィヌのそれをぐるりと撫でた。一回り小さなエルフの先実に、筋の張った下側を擦りたてられ、メィヌは寝惚けたような声とともに、口の中に溜まった涎をとろとろとこぼす。
「でも、今日はあたしも、もっともぉっと、出すんだからぁっ……」
耳の先に届くまで顔を赤らめたリトが、メィヌの脇のシーツに片手をつく。綺麗に膨らんだ胸がゆっくりと揺れるさまをメィヌに見せつけるようにしながら、リトは余った手で自分の屹立を押さえつつ、少しずつ腰を引いていった。
「ちょ、はふっ……リトぉ、ダメ、はぅっ」
細かく前後するエルフの股間で弾む硬いモノが、ぬるぬると水気を塗りつけながら犬娘の肉幹を滑り下りてゆく。
「うふー。メィヌぅ、こぉんなにカチカチにして、あたしのこと、欲しいんだ?」
「うー、リトがえっちだよぉ……」
軽く熱に浮かされた顔を彩るエルフのエキスに酔わされ、メィヌは間近に迫るリトの頭の後ろで両目の焦点を結んで言葉をこぼす。そんな相手の様子にも表情を緩めたまま、リトは犬娘の股間に開いた秘華に、膨らみきった肉先の実を、ぐい、と勢いをつけて擦りつけた。
「ねぇメィヌぅ?入れて欲しかったらぁ、ちゃぁんとおねだりしないと、ダメなんだよ?」
ぼんやりと瞬きを繰り返す目元に頬を寄せて、リトは唄うような調子でメィヌに声をかけた。
「うー……?」
下向きに垂れた犬耳がぴくりと揺れ、持ち主が気がつくより先に、エルフの言葉を意訳する。それに応えて、牙の覗いた柔らかな唇がふにゃふにゃと動いた。
「……うん。リトぉ、こすってばっかりいないで早く、入れてよぉ……」
「えー?なにをー?メィヌはなにが欲しいのぉ?」
「うー……、リトのバカぁ……」
白い頬を蕩かしきったまま、エルフは身体の下の犬娘と言葉を交わし続ける。長く尖った耳の先は真っ赤に染まり、木蓮の瞳の上にたつ細波も見逃さないように、虹彩を開いて顔を見つめる。
「ねぇメィヌ?あたしは、このままでもキモチいいんだけどなぁ?」
犬娘の股間で、にゅり、にゅりと、粘り気を帯びた音がする。開ききった太腿の付け根では、エルフの長い屹立が、複雑な紋様の形に花開いたメィヌの入り口を擦りたてている。肉幹の先に乗った紅い実からは、さらさらと肌をつたう露が溢れ出し、漂う香りでメィヌの喉の奥を情熱的に揺さぶってきた。
「うーっ……!リトぉ、いじわるしないでよぉっ!」
メィヌは、目頭から涙の滴を振りまきながら、ぶんぶんと首を振った。
いつもなら、恥ずかしそうにしながらもわがままにつき合ってくれるリトが、今日に限って言うことを聞かないでいる。その上、玩ぶように自分を焦らして楽しんでいるようにさえ見えてしまう。
「っく、おちんちんっ。ボク、リトのおちんちん欲しいだけだもんっ!」
急に大声を出した勢いでしゃくりあげてから、メィヌは一息で叫んだ。興奮と、掛けられた言葉たちが綯い交ぜになってぐちゃぐちゃの頭の中から、にらむような視線で上目遣いにリトを見つめる。
「メィヌ……」
それ以上は何も言わないで、メィヌはリトの顔を見つめ続けた。目尻の奥に流れた湿り気が騒いで鼻を鳴らしそうになったが、我慢して瞳に力をこめる。
「……あぅ……」
メィヌの顔のすぐ先で、リトが鳴いた。
それでも、メィヌは目を逸らさない。唇を、くっ、と結んだまま、仲良しのエルフの瞳の奥を探る。
「……リトぉ?」
エルフの長い耳が、ひくりと動いた。膨らませた口の中で名前を呼ぶと、メィヌの声は篭った音で、熱が渦巻く頬の内側を叩いた。
「うん、それじゃぁ……」
「なに?」
膨れた口元の先で、牙を隠した唇がついっ、とすぼまる。
「ごめんね、メィヌ」
丘の形になった眉の下で、エルフの瞳が窓の明かりを照り返している。ふさふさとした毛が自慢の耳を動かして、メィヌはリトの次の言葉を待った。
「いつもより深ぁく入れてあげるから……あたしにお尻、向けてくれる?」
その時、丸いお尻の下に寝そべっていた尻尾がぱたんと背中を叩いたこと。
そのことは、少なくても今日うちに帰るまで秘密にしておこう――いくつかの瞬間が過ぎ去ったころ、メィヌはうなじの毛が途切れるあたりで、そんなことを考えていた。
(マッシュルームマーチ おしまい?)
公開日:2009/08/01