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「マッシュルームマーチ」の続き、になります)
「メィヌぅ……」
両手をついて寝そべった格好で、メィヌは後ろを振り向いた。お尻の方から、少し呂律の回りの怪しい声が、自分の名前を呼んでいる。
「むー、ボクのお尻、そんなに気持ちいい?」
メィヌの仲良しのエルフの娘は、墨で刷いたような淡い黒髪を揺らしながら、瞼を半ば下ろしてメィヌの後ろに顔を擦りつけていた。二つの手で握って開いた谷間に頬を押し込み、ぱたぱたと額にかかる尻尾の毛を気にすることもなく、ひたすらにメィヌの柔らかみを貪っている。
「んー、むにむにしてて、ちょっと変な匂い……」
「うー!そんなこと言うんだったら、触っちゃダメぇ!」
メィヌはぶるんと尻尾を振り回して、リトの顔を横から軽くはたいてやる。
「ぁんっ……。ぬふ、メィヌのお尻ぃ……」
尻尾から抜け出た長い毛を唇に絡めて、リトはメィヌの底に鼻先を差し込んだ。メィヌが飲ませたローメリーの効果は、二人のどちらが考えていたものよりも強くなっているらしい。お尻の割れ目を上から下まで、メィヌの感じ方で表せば後ろから前まで掘り返して、リトは蜜に塗れた秘密の透き間に辿り着いた。
「お尻の前、トロトロになってるぅ……!」
すらりと伸びた鼻先で、メィヌの濡れたところをついついとつつく。リトの顔からメィヌの中にまで透明な糸が伸び、部屋にたゆたう明かりをきらきらと弾く。
「リトぉっ。いつもより、もぉっと、入れてくれるんじゃなかったの?」
唇を曲げて、メィヌはリトに抗議した。お尻にすっかりご執心なリトは良くても、匂いを楽しまれているばかりでは、メィヌとしては一向に気持ちよさが増してこない。
「んふふぅ……、メィヌぅ、あたしに入れてほしいのぉ?」
ゆらりと上体を起こして、リトは後ろを向いたメィヌに笑いかける。リトが立ち上がる時にも手に握られたままのお尻に、細身のリトの重みがずん、と食い込む。
「リトが入れるって言ったんだよぉ?」
「うふふ、そうだね」
明るい色ではっきりと描かれた眉を丘の形にして、メィヌはリトに言い募る。唇を緩めたリトは、犬娘のお尻を掴んだ指を動かして、ぷっくりと膨れたメィヌの扉を引き開けてきた。
「リトぉ、またいじわるするつもり?」
「……え?」
メィヌと話しながら股間の屹立をそこに押し当てたエルフの動きが、ぴたりと止まった。
「そんなリト、ボク嫌いだよ?」
大きな木蓮の瞳にいっぱいに涙をためて、メィヌはエルフの娘を見つめてやる。短い牙を覗かせた唇も下を向けて、お尻に乗ったリトに淋しさをアピールする。
「う……」
長い耳を垂らして、リトはメィヌを見つめ返す。メィヌの中で、自分の息遣いが数えられるくらいに、部屋の空気が静かになった。そのまま、メィヌの鼻が三回息を吸うまで二人は動かず、それが吐息に変わる前に、リトはふい、と目を逸らした。
「そだね……。もう今日は、やめよっか」
メィヌは、前についた二つの手の間に突っ伏しそうになった。
ローメリーの効果が抜けない鼻には、リトの身体の匂いが甘酸っぱいものから苦いものにみるみる変わっていくのが手に取るように判る。いい加減に待ち草臥れているリトの屹立も、メィヌを気持ちよくしてくれるどころか、張りを失って下に曲がりつつある。
どうも今日は、リトの気分の浮き沈みが激しい。せっかく謝ってもらったばかりなのにこうまで落ち込まれては、火の点いたケモノの身体の方の収まりがつかない。
「ごめんね、メィヌ……やっぱり、今日のあたしっておかしいみたい」
メィヌの横にぺたんと手をつくと、エルフの娘は呟くように言葉を紡いだ。
近くに来たリトに擦り寄っても、垂れた長い髪に邪魔をされて、色白の顔は見えない。ぎゅんと眉を寄せて、メィヌはリトの頭に手を伸ばしてみる。さらさらと鳴る黒髪に触れるほどに近づいても、リトはメィヌの動きに気がついたような様子を見せなかった。
「にゅふふぅ……」
メィヌの丸い頬の中で、熱い息がくるくると回って笑い声になる。牙の横から吐息を洩らして、メィヌは逃げられないように、一息にリトの首根っこに腕を巻きつけた。
「はぅっ……!?」
リトが驚いた声を上げたが、もう遅い。本気を出せば簡単に身動きを封じられる腕力で、メィヌはリトの身体を宙に浮かせ、くるりと裏に返す。
近くで見ると、リトの顔の造りは本当に奇麗だ。それを今から好きにしてしまうことを考えて、メィヌの頬が柔らかく緩む。切れ長の目をエルフ娘の顔に、ほとんど透き間がなくなるまで近づけて、メィヌはリトの瞳を覗き込んだ。
「もー、リトぉ?途中でやめちゃったりしたら、ボクもっと怒るよ?」
両手両脚で四肢を押さえつけた格好では、メィヌの下にいるリトが自由にできるのは首から上だけだ。ゆらりと頭を振ると、片耳をメィヌに向けて、リトは今にも泣き出しそうな声を洩らす。
「そ、そんな……。あたし、そんなのやだよぉ……」
ちゃんと顔を見てくれれば本当に怒っていないことはすぐ分かるはずなのに、横を向いたリトは耳を揺らして小さくなっている。友達にお仕置きをしているうような感覚を覚えながら、メィヌはリトの腕にそっと爪を立ててみた。
「やさしくしてしてっ、て言うクセに、ボクにいじわるするんだもん。リトってホントにひどいよね」
「ご、ごめんなさい……メィヌぅ……。お願い、嫌いに、ならないで……」
動かせない両手がたらりと床に伸びて、メィヌの目の前にある瞼が力を込めて閉じられた。睫に彩られた目尻から、小さく滴が膨らんでくる。
「でも、リトをいじめちゃうのって、けっこう楽しいかも……?にゅふふ」
「……え?」
閉じられたリトの目の下側に、メィヌは伸ばした舌を這わせる。薄く塩味のする水が唇の中に広がり、リトの頬から苦い匂いが喉に吸い込まれてくる。
「ひぁっ!?」
「ボク、怒ってないにょ?だから、にゃくのやめよ?」
「にょ?」
目元から頬を伝い、長く尖った耳まで、時々舌を引っ込めながら舐めていく。そのせいでおかしくなる言葉をリトに聞きとがめられて、メィヌは血色の戻った頬をぷくりと膨らませた。
「むー!リトは早くえっちになってくれればいいのぉっ」
「え、え?」
細い身体を押さえていた手足を除けて、エルフの細い耳をぺろぺろと舐める。メィヌ自身のものと比べると硬くて不思議な耳だが、その実、キノコみたいで噛み心地は悪くない。
「あむっ、はむ」
「ひゃぁっ!」
耳の中に舌を入れて、穴の内側を辿りながら、しっとりと湿り気の浮かんだ頬に戻っていく。汗とともに浮かんだ苦みを丹念に舐めていくと、その後からふんわりと、リトが煮出したローメリーの香りが漂ってきた。
何度触ってみても、リトの身体は細いのに柔らかい。横顔に掛かる髪も、やっぱり細くて柔らかい。メィヌは、自分の身体は嫌いではないけれど、どうしてこう違うのかは不思議に思う。
「んにゅー……」
目を開けたまま、裸の首筋に顔をうずめてみる。前髪の流れたメィヌの額に、リトの口元が触れて、濡れた感触を伝えてきた。
「はぅっ……」
そのままこぼしておくのももったいない。メィヌは舌を伸ばして、少し綻んだ唇の端を舐めあげた。
いつも気まぐれにキスすると、リトの唇はその度、膨らませた砂糖菓子のような触り心地がする。ふんわりと乾いた、それでいて細やかな味。それなのに今日は、メィヌの舌先に、とろりと蕩けた水気が染みてきた。
「にゅふー……」
リトの吐息も、肌と同じ香りで甘酸っぱい。メィヌの頭の中に、先刻香草の露を口移しに飲ませた時の、ぬめらかな感触が浮かび上がる。
「はぁっ……」
昼寝から覚めかけているような目で、リトがこちらを見た。額に流れた黒髪が眉の下までを隠し、かすかな汗で肌に吸いついている。
「にゅふふっ……」
「え……メィヌ?」
牙の先を覗かせた口元が、ふるりと笑みに緩む。のし掛かった身体の下に、リトの硬くなったものがぐいぐいと自身を押しつけてきている。メィヌは、自分のお腹の中も、リトの口元のように熱くなっていることを感じて、ゆらりとエルフの細身を跨いだ。
「リトぉ?リトもボクのコト、ほしいでしょぉ?」
里の仲間と話していて覚えた言い回しでリトの気持ちを煽ってみてから、ほんのりと赤みを増した頬に顔を寄せる。息を飲んだリトの呼吸は控えめで、胸が小さく上下している。互いにとうに服を脱ぎ去っていたことを今更思い出して、メィヌは裸のリトの脇に両手をついた。
「やだったら、やだって言っていいからね?」
「う、うん……」
長い耳を揺らして、リトがこくこくと頷く。一度持ち上がってしまった頭を下げて、メィヌは間近でリトに笑いかける。それから、背中を曲げて腰を動かし、リトの屹立の上に丸いお尻を被せた。
「ひぁ……!」
「にゅふふー、食べちゃうぞぉ?」
「た、食べ、って……」
メィヌの直截的な言葉に、リトの顔が首まで真っ赤に染まる。その速さを追い越してみたい気分に駆られて、メィヌは位置を合わせると、いちどきにリトのものを自分の中に差し込んだ。
「あぅぅ……っ」
メィヌの股間に生えた勃起より小さいとは言っても、小柄なメィヌにとっては、リトのものは充分に長い。奥までくわえ込むと、それだけで胸のあたりまで一杯にされたような気分になる。そのくせ、二本の脚が挟んだ骨の奥で、リトのものに広げられた路に血が集まり、それを締めつけるようにざわざわと騒ぎ始める。
「んっ……、メィヌぅ……」
いたいけな声を洩らすメィヌの下で、リトは揺らぐ視線を繋ぎとめ、上に乗った犬娘の顔に瞳を向けていた。ざらりとした入り口を一息に通り過ぎさせられた肉幹の根元近くから、自分を啜りたてるメィヌの秘華の感触がじわじわと染み込んでくる。
「う、動かす、よ……?」
「うん……。はあぁ、にゅふっ」
息を荒げながら告げたエルフの言葉に、リトはどうにか息を整え終えて応える。舌を見せて開いた口から、堪えきれずに笑みがこぼれた。
「ふはあっ!?」
次の瞬間、メィヌの底で太いものが暴れ、ぐるりと一度輪を描いた。驚いて腰を持ち上げると、追い掛けるようにして、それがもう一度お腹の奥に埋まってくる。
「ぅん……っ!」
メィヌを突き上げたリトは、腰を浮かせたまま、硬く瞼を閉じていた。波打つメィヌの内側が敏感な先の丸みを揉み潰し、リトの幹から粘つく露を絞り出させる。
「うううぅっ!」
唸るメィヌが、膝を曲げてリトの身体ごと腰を床に落とした。振り回された尻尾が跳ね、食い込む肉実を噛む力で、メィヌ自身の勃起が空気をかき回す。
「はぁっ、はぁぁ……。メィヌぅ、気持ちいいよぉ」
「にゅふふぅ、やぁっとえちくなったねぇ、リト?」」
「……いいもん。どうせあたしは、えちぃんだもん」
見下ろすメィヌから顔を逸らし、頬を膨らませて、リトはメィヌに返事をする。そんなリトを見て舌なめずりをするメィヌの手に、するすると暖かなものが絡みついた。
「……んえ?」
その温もりは、メィヌの二本の腕に這い登ると、指先を食い込ませるようにして筋を掴んだ。両手をカーペットについたままのメィヌが首を傾げているうちに、下向きに引く力がメィヌの肘を押さえつけて、上半身の自由を半ば近くまで奪ってしまう。
「……ちょっと、リト?」
「うんんんんっ……!!」
「ふぁあっ!?」
ほとんどメィヌの中に入り込んだまま、リトは無理やりに腰を振りたてた。メィヌを身体ごと持ち上げるようにして、暴れられるだけの広さを作ってしまう。
「あ、あっ……!」
メィヌの腕にすがり、カーペットに乗った背中をばねにして、浮いたメィヌのお尻の奥を潰すように何度も突く。時折休みを挟み、目を開いてメィヌの身体を見上げる。薄い唇はリトにしては珍しいほど大きく開き、塊のような息を吸い込んでは吐き出す。
「うあ、ふぁっ!」
尻尾をばたつかせながら中空に下半身を支えるメィヌの中で、リトの肉幹がぶるぶると震えた。
「はあっ、はぁっ……メィ、ヌぅ……っ!!」
自分から座ったメィヌを文字通りに釘付けにして、リトはどっぷりと精を放つ。熱さを形にしたような粘り気がお腹の奥に広がり、メィヌは小さく喉を鳴らした。
「リ、トぉ……ちょっと早すぎ、ひぃっ!」
「はぅんっ……! やだ、まだやめたくないもぉんっ……」
自分のエキスを染み込ませたメィヌの奥で、なおもリトは肉幹を擦り続ける。少しだけ硬さの抜けていたそれが、みるみるうちにメィヌの中で太さを増し、二人分の水気に濡ったそこから、音を立てて出入りする。
「やぁっ、ボク、壊れちゃうよぉ……!」
「いいよ、壊れてもっ……メィヌのこと、壊しちゃうんだからぁっ……!」
長さではメィヌに負けないリトのそれは、メィヌの奥を掘り拡げるように前後に動く。一度の抜き差し毎に当たる場所が変わるように、メィヌの腰はひとりでに動いて、白い肌の上の宙に円を描く。リズムをつけて腰を回しているうちに、メィヌの尻尾はぱたぱたと背中を叩き、それに合わせるようにして肉幹が脈を打ち始めた。
「はぁ、はぁ、リトぉ……。ボク、そろそろイっちゃうよぉ」
リトに掴まれた両手は、カーペットの上から全くといっていいほど動かせない。跳ね回る勃起は時折リトのお腹を叩くだけで、かき回されるがままのメィヌの格好で、それをもっと楽しませてやる方法は思いつかない。
「ふふっ……! じゃあ今日は、おまんまんだけでイかせて、あげるっ」
白い歯を小さく覗かせたリトは、その言葉とともに、波打つように前後に身体をくねらせた。
「あふっ……ぅう!」
リトの朱い実がずるりとメィヌの入り口を擦り、幹を締めつけていたメィヌの秘華を、目覚ましを掛けるように刺激する。
「ふふふっ……!!」
そこから何回か、拡げては抜け、閉じたら入れ、広がったら引く責めが、メィヌの腰の下側を揉み洗う。自分の股間がどうなっているのかメィヌが気がついた頃には、抑えられない塊がリトの屹立から注ぎ込まれ、抑える気にならない反応がお腹の中を駆け回っていた。
「はあああぁっ!!」
「はぁうぅぅっ……!!」
メィヌの腰の回りで飛び回っていた熱さが勃起の先から潜り込み、先実を膨らませて根元まで吸い上げられる。力の抜けた腰が、再び精を吐きながら暴れるリトの肉幹をくわえて落ちた瞬間、メィヌの根元で液体に変わった熱が、受け止める相手を求めて迸り始めた。
「あ、あ、ああああ」
「うふぅぅぅ……っ!」
自分の精が先実を貫いても、続く流れが膨れた肉幹を喜ばせても、メィヌの腰の中はいっぱいになったままだった。後からあとからどろどろしたものが出口に向かって走り、メィヌの頭の中を快感で埋めつくしていく。
「ああぁぁぁぁ……はふんんっ!!」
メィヌの腰が力を溜めた瞬間、奥にくわえたリトのものが精を流し込み、メィヌ自身の屹立は更にもう一度跳ね上がった。
肉幹を溺れさせるような量の性液がメィヌの硬さに通った芯を貫き、絞り出す奥から口を開いた先実までをいちどきに満たす。はみ出した牙で唇の下を噛みながら、メィヌはリトの豊かな胸の上に、小さな池ができるほどのエキスを噴き出して、ぶるぶると腰を震わせた。
■ □ ■ □
「うー。リトってばぁ、ボクのこと、嫌いなの?」
カーペットに飛び散った二人分の精を布巾で拾い集めながら、メィヌは耳の後ろに声を飛ばした。
「ねぇ、なんか言ってよぉ、リトぉ」
ぬるぬるした感触と一緒に、結構な時間が経っているはずなのに残った温度が、白い布巾を染み通して、メィヌの手に伝わってくる。控えめに揺れる尻尾の先では、扉を閉められたバスルームから、さらさらと水の流れ落ちる音が聞こえている。
「うぅー……」
先刻そこに篭ってから、リトは全然返事をしてくれない。確かに汗もかいたけれど、恥ずかしがって出てきてくれないのは、いくら何でもひどいと思う。
「……ねぇ、メィヌ」
いい加減に、明るい色をした尻尾も床に垂れそうになったところで、丸めた背中に声が降ってきた。少しだけ遅い返事だけれど、優しいメィヌはそれでもリトの言い訳を聞いてやることにする。
「……なに?」
たっぷりと間を置いてから、振り向かないで返事だけをした。床を横に擦る尻尾の上に、温かい水がぽたりと垂れる。
「メィヌも、そのままだと風邪ひいちゃうから……一緒に、お風呂、入らない?」
野原を走るのも、遠くまで跳ぶのも得意だ。弓矢が一番得意だけれど、そうでなくても、里の仲間にはそうそう負けたりしない。
ローメリーを飲んだリトにも負けない足腰のばねを利かせ、一瞬の伸び上がりに半回転を加えて、頭の上にあった細い首に両腕で抱きつく。
宙に放られた布巾はふわふわと部屋を漂い、慎ましく衣装籠の中に納まった。
「えへへぇ……、リトぉ、大好きっ!」
(Puzzle おしまい)
公開日:2009/11/21